まついあけみ Matsui, Akemi
- アサガオ(帯化品種) Ipomoea nil cv.
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変化朝顔は、突然変異によって花や葉が野生型からどのように変化したかを楽しむ江戸園芸文化です。描き始めて9 年になります。雑誌で九州大学から種を提供される記事を目にしたのがきっかけでした。
その後、人との出会いに恵まれインターネットの普及のおかげもあって、今も楽しく描き続けさせていただいています。700 種あるといわれる内の、これは帯化です。葉は孔雀葉。
茎が合着し、生長点ではひしめきあっています。
- アヤメ (アヤメ科)Iris sanguinea
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形と色を正確に描く努力は当然だ。けれどもこの花は「美しいだけではだめだ。その奥にある魔性のものを掴み出さないと」(野見山暁治)をまず思い浮かべたほど凄い題材だった。自分の筆力の無さを心から残念に思う。(透明水彩 34.5×25.0cm)
- ツバキ‘蜀紅’(ツバキ科)Camellia japonica ‘Shokko’
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(透明水彩・ペン 53.0×26.5cm)
2022年1月15日更新
作者 プロフィール
まつい あけみ Matsui, Akemi (三重県)
好きなもの。それは美しいもの、悲しいもの、侘しいもの、不思議なもの、そして江戸という時代。
ボタニカルアートを始めたのは1997年です。2001年ある偶然から変化朝顔に出会いました。変化朝顔は江戸園芸文化を代表する日本独自の一年草ですが、その遺伝子発現のしくみの複雑さと不思議さのために理解されにくい植物です。ですが逆にその難解さに私は魅かれました。そして10年。100枚近い変化朝顔の肖像画を描き、一冊の本にまとめました。
次に、私は泉鏡花という作家の世界に嵌まりました。泉鏡花は明治時代の小説家です。その作品には必ず多くの花の名前が登場します。そして美しく悲しく不思議な世界を繰り広げます。
2017年私は鏡花の物語世界を土台にした植物画集を出版しました。
そして現在(2021年)、私は変化朝顔にならぶ江戸園芸のもうひとつの柱「椿」に取り組んでいます。これもまた偶然に、荒れ果てた侘しい椿園をみつけたことがきっかけでした。
間もなく、日本初の園芸書1695(元禄8)年発行の「花壇地錦抄」という古書籍を入手しました。この本もまた僥倖としか言いようのないタイミングで私のところにやって来たのです。そしてその著者伊藤伊兵衛の末路を知るに及んで、こんどは「江戸椿」を描いてみようと思いたちました。
この道はまだ半ばです。これからどのように展開していくのか全然わかりません。楽しみでもあり、また不安でもあります。
そういう訳で私の自己紹介は結局、好きなものに引きずられっ放しで過ごした25年間の経過報告ということになってしまいました。
2003年 筑波植物画コンクール準佳作
2005年 RHSフラワーショー銀賞
2006年 高知県立牧野植物園にて個展
2012年「ボタニカルアートで描く変化朝顔の世界」刊行 八坂書房
2016年「トレジャーオブボタニカルアート~植物画の至宝展~」出品 ハウステンボス美術館
2017年「鏡花繚乱~ボタニカルアートで描く泉鏡花の世界~」刊行 八坂書房
2018年「尾州徳川の花相撲展」出品 ヤマザキマザック美術館